Agenda de tous les jours

残すためではなく気づくため。自身の省察のためのブログです。

小学校における「公共性」を育む「シティズンシップ教育」

昨日と今日の2日間,お茶の水女子大学附属小学校(以下,「お茶小」と略記)にて,タイトルに掲げたテーマで公開授業・研究会が開催された(下記のURLを参照)。
http://www.fs.ocha.ac.jp/20100118%202010koukaiken-2ji-2-hp.pdf
ここ最近の自分の研究を進める中で,ずいぶんこうした授業実践からかけ離れたところにいてしまっているような気がして,今日1日だけだけど参加してみた。
お茶小の「市民」という教科は,品川区の「市民科」と並んで,「シティズンシップ(市民性)教育」の先進的教科実践として注目を集めており,今日も全国から多くの先生たち・学生が見に来ていた。
今日見た「市民」の授業は,6年生の「くらしと政治」,5年生の「食糧生産のこれから」。
6年生の「くらしと政治」の方は,現在政治的な争点となっている「高速道路の無料化」についてで,5年生の「食糧生産のこれから」の方は,日本の農業政策・食糧自給率についてだった。
いずれも現在非常に問題となっている事柄を扱っていて,聞いている方としても,どういうことが争点になっているかがわかりやすかった。
具体的なデータなども随所に示され,非現実的な感情論には陥らないような工夫もなされていたと思う。
また,子どもたちの意見・反論なども様々で,小学生にとってはやや難しい内容なのによく調べられているなという印象をもった。
おもしろかったのは,「口だけの民主党が…」とか「民主党マニフェストには…とあるけど実際は,〜」といった現在の政権批判が子どもたちから出されていたことである。
これはメディアや親などを含めた周囲の大人たちが言っていることなんだろうなと思って聞いていた。一方で子どもから具体的な政党の名前が出てきたときの教師の対応も慎重を要する点ではある。
公開授業のあとには,「学習分野別協議会」というものも設けられていて,教科ごとに授業実践者や大学教授,参観に訪れていた人たちとの意見交換も行われた。
「市民」の部会には,ゼミでもお世話になっている小玉重夫先生もアドバイザーとして招かれていて,お茶小の「市民」実践に対する問題提起や講評などを聞くことができ,勉強になった。
理論や原理の方に興味がある身として,それはそれで重要なことだとは思う一方,「机上の空論」に傾斜しすぎないためにもたまにはこうして実際に学校に出向き,実践から学んだりいろんなことを感じ取ることの重要性・必要性を再確認した一日となった。