Agenda de tous les jours

残すためではなく気づくため。自身の省察のためのブログです。

文京区の保育園事情

先週末、文京区の保育課から、2014(平成26)年度の文京区認可保育園の入所選考の結果が届いた。
結果は「入所不承諾」。
ついにうちの子も待機児童の仲間入りである。
すでに認可外保育園に入れているし、0歳児クラスなら募集人数も他のクラスに比べると多いのでなんとかいけないかなぁ…と淡い期待を抱いていたけれど、現実はそう甘くはなかった。
出産した病院で知り合ったお母さんに伺うと、文京区の子を持つお母さん方はやっぱり必死に「保活」をしているという。
文京区は周辺の区に比べて待機児童が少ない区ではあるが、それは数字のマジックで、総人口が少ないだけらしい(実際の激戦度は横浜並とか)。
平均所得が高いのも、お母さん方みんなふつうにフルタイムで働いているからだという。
実際、お話を伺ったお母さんも二人目の出産で、産休が明けたら仕事に復帰する予定だと話していたし、友人の結婚式で久しぶりに会った文京区に住む高校時代の友人も、0歳児から認証に入れていて自分もフルタイム勤務なのに「入れなかった〜」、と話していた。
そんな話を聞いて、「保活かぁ…だけど、そんな時間的余裕はないなぁ…」と思っていた。
文京区は、希望する保育園を3つ選べるので、その3つの保育園には研究や仕事の合間を縫って見学には行った。
まぁ、結局のところ、徒歩で通える距離にあることが一番の希望理由。安全第一。
保育士さんの感じや施設・設備も子どもの発達を考えると大事だとは思うけれど、区立だったらスタッフの異動があるし、入れることを優先的に考えると施設・設備もあまり贅沢を言っていられない。
ちなみに、自分の家から近い保育園ということで、①本駒込南、②本駒込、③しおみ、の順で希望。
本駒込南保育園は人気なだけあって、閑静な住宅街にあって大通りに面していないし、子どもが緑に囲まれながらのびのび走り回れるスペースがあるなぁ…と、ひとめ惚れだった。
本駒込は施設的には「狭っ!」という印象だったけれど(なにせ重要なお庭がない)、児童館が併設されていて、狭いながらも遊ぶスペースはあるかな、といった感じ(保育士さんたちはその分工夫するので保育スキルが向上するらしい)。
しおみは、超激戦なだけあって、何より駅に近くてアクセスがよい。狭いけれどお庭もあるし。
基本的に文京区の保育園はどこも狭いらしい(自分の育った江東区とは大違い)。
私立は自分の近所にはないから希望しなかっただけで、区立も私立も保育料は一緒だから近くに私立があるなら私立の方が何かといいかも(スタッフの異動がないし、入りやすい?)、なんて思ったり。
保育内容は、区立は区の方針で決まるから建前上どこに行っても同じ(でも実際は施設・設備による制約はあるけれど)。私立は園長先生の方針で決まる。
でもどんなに保活したところで、結局、選考方法はポイント制。
区役所に出向いて顔を覚えてもらうとか、区長宛に長々と手紙を書くとか、担当者に泣き落としてみるとか、いろいろ噂には聞くけれど、全く無意味だとか。
役所の人も、公平性を期しているから、落ちた人からの問い合わせには「あなたより点数高い人がいたので…」という説明に終始するらしいし(そりゃそうだ…)。
ただ、自分の場合、あまり前例がないそうなので、状況を説明するのが少しやっかいだった。
自分は現在、某大学で週2コマ非常勤講師として授業を持つ傍ら、いろいろメリットも多いということで大学院に在籍している(つまり、「学生」という身分)、といった状況。さらに、現在もそうだけれど、来年度の採用内定待ちの状態だから「求職中」にもなる。
父親の方は週5日以上・日中8時間以上の常勤職。
ポイント(点数)は、「父親の基本指数」と、「母親の基本指数」、「調整指数」の合計で算出される。
父親の基本指数は文句なく上限の10ポイントもらえるけれど、自分(母親)の方は、学生(8ポイント)と求職中(5ポイント)の両方にまたがっている状態で、どちらか片方のポイントしかつかない。
ただでさえ学生だってだけで不利なのに、これで求職中のポイントしかつかなかったら戦う術がない。
さらに実際は、時期にもよるけれど、日中のほとんどの時間を非常勤の授業準備や成績付作業などに割かれているので、それらをどうにか考慮してもらえないかな…とも思っていて、非常勤先の在職証明書とか、一般に理解されにくい大学院生がどういうことをしているのかなどが書かれた大学院の研究科長の手紙とか、いろいろ添付して提出した。
そして選考前に担当者から電話をもらい、そうした複雑な状況を説明した内容を一筆書いて提出するように求められた(書類は担当者に直接手渡した)。
あとは選考会議で…ということだったけれど、最低でも学生扱いしてもらえないと基本指数の時点でアウトだ。
でもやっぱり選考の際に重要になってくるのは「調整指数」だろう。
自分の場合、例えば、区民であること(4ポイント)、新規入所であること(1ポイント)、認可外保育園にすでに預けている(1ポイント)、同居親族及び協力親族がない(1ポイント)などがつくはずだ。
あとは、文京区の場合、6か月以上待機している(1ポイント)、兄弟が認可保育園に在園している(2ポイント)、年齢上限のある認可保育園に通う卒園児童である(2ポイント)などがある。
他にも、生活保護世帯(4ポイント)やシングルマザーであること(3ポイント)も高い点数をもらえるが、文京区の場合、そもそもそういう世帯はあまり多くないのでは…と思うのであまり考慮に入れていない。
というわけで自分の点数は、「父親の基本指数」(10)+「母親の基本指数」(8)+「調整指数」(7)=25 になると思う。
この点数は、昨年度倍率2倍を切っていた保育園(本駒込)に入園した人の最低点らしい(厳しい…)。
さて、来年度は1歳児枠での入園を目指さなければいけなくなったわけだけど、今回の落選を踏まえてある程度の対策を講じる必要がある。
以下に他のお母さん方からのアドバイスを踏まえて考えられる対策を並べてみよう。

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まず、何よりも自分の基本指数を上げることだ。
母親の基本指数が上限の10ポイントないと、兄弟加点がある世帯と戦えない。
でもその前に、自分の点数が何点になっているのか、希望する保育園の最低ボーダーダインは何点なのかを正確に把握する必要がある。
つまり、受験生的に言えば、自分の偏差値は何点で、志望校の偏差値はどれくらいなのかを知らなければ、ここはいけそう…とか、ここは無理かも…ということがわからない。
特に自分のように、基本指数が微妙な場合とか、祖父母の家と自宅との距離が微妙な場合とか、ポイントが微妙な場合は、確定前の1月下旬に区役所に出向いて自分の点数を確認し、異議があれば申し立てないと結果が来てからではすでに枠は別の人で埋まっているから遅いという。
あとは、相当妥協して遠いところにある倍率の低い保育園に入れるというのも一つの策だけど、半年保育園への送り迎えをして思ったことは、10キロ近い赤ちゃんを抱っこしたりベビーカーに乗せたりして交通機関を利用して通うのは、親の肉体的にも親子の精神的にも時間的にも経済的にも大変だということ。
ましてや小学校に上がるまでの6年間となるとなおさらだ。
なのでこれは今のところ考えていない。
ちなみに、隣接区の保育園の申込みも考えたけれど、区民でないというだけで、区民である人とすでにポイントに大きな差がついてしまうので相当なことがないかぎり望めないし、申込みにかかる労力の無駄だと思う(区の税金で賄っているのだから区民が優先なのは当然と言えば当然)。

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ここまで長々といろいろ書いてみたけれど、結局のところ「保育園を増やせ」というありきたりな落ちになってしまうのか。。
少ない椅子をめぐっての椅子取りゲームだから椅子の数を増やせば座れる人も増えるのは、当然っちゃあ当然だ。
そうした中でも、個人的には、上記のようなポイント制も見直す必要があるのではないか、と思う。
一般に、預けたくても預けられないから働けない、働けないから(ポイントがつかなくて)預けられない、という風になっているのが現状だろう。
自分の場合は、常勤職に就けないから非常勤をやっているのだし、常勤職に就くためには業績が必要だから研究をするのだし(もちろんそのためだけではないけれど)、学生でないと優先的に子どもを預けられないから非常勤だけにすることができないのだし、子どもを預けられなかったら研究も非常勤勤務も手放さなければならない、といった状況。
もっと(これから仕事復帰する人も含め)就職活動をしている人にも配慮しなければ上記のスパイラルは断ち切れないだろう。
また、ない物ねだりになるけれど、大学院生の社会的地位についてももっと社会に認知されなければ、大学院に行ってリスクを背負ってまで研究しようという人がいなくなるだろう。
まぁ、どこかで優先順位をつけなければならない現状の中で、本気で少子化対策しようと思うならば、今の現状をどうにか改善するだけではなく、子どもを産んでも育てられるよう将来的に余裕のある環境をつくらなければリスクを背負ってまで産みたいと思う人は少ないだろう(お金の問題ではない、ということ)。
安倍首相は3年間の育休をとれるようにするとか言っているようだけれど、「3歳児神話」(3歳まではお母さんの手で育てるといい)なんて所詮神話に過ぎない。
一日中一人で赤ちゃんの面倒を見ることがどれだけ大変なことなのかわかっているのか、と思ってしまう(これだからお坊ちゃまは…)。
まして3年もなんてなったら、それこそ子どもの「お母さん」でしかなくなってしまうじゃないか(そういうものだ、という反論もあり得るけれど)。
別に自分はフェミニストではないけれど、日本がこれまでどれだけ女性の可能性を「子どもを産める」という性別役割によって潰してきたのか、と思う。
働くことと子どもを産み育てることは二者択一ではないし、子どもを育てながら働くとか、やりたいことをやる(自分だったら研究をする)というのは、社会的にも子どもに対しても後ろめたいことでは決してない、と断言したい。
子どもだってお母さんが育てようが保育園に預けられようが物心ついた時には覚えてないし、親も子どもも、結局のところ、ニコニコ毎日を過ごせることが何よりだと思う。
忙しくても、子どもには自分の生き生きとした頑張っている姿を見せてあげたいと思う。
子どもを育てる一義的な責任は親にあるけれど、基本的には子どもは社会全体で育てるべきである。
自分の子どもには、たくさんの大人の目で見守られながら、自分たち親だけでなくいろんな人からの愛情を受けて、いろんなお友達に出会いながら時にはケンカもしたりして成長していって欲しいと思う。
ただし、子育てにはいろんな考え方がある。
何が正しくて何が間違っているとかはない。
だからこそ、いろんな生き方を、いろんな自己実現を、社会全体でバックアップできるような仕組みを整える必要があるのだと思う。
保育園の増設はその中の一つの策にすぎない。