Agenda de tous les jours

残すためではなく気づくため。自身の省察のためのブログです。

樹々のざわめきと最後の別れ

今年の夏は去年に比べると涼しいのかと思いきや,ここ数日はうだるような暑さ。
そんな残暑の最中,学部時代の恩師から一通のメールが届いた。
メールの内容は,自分が修士時代にはじめて一人でフランスを訪れた際に何から何まで本当にお世話になった先生の訃報だった。
最後にその先生にお会いできたのは2年前の夏だった。
また,今年の3月にフランスに行った際にもメールでのやり取りだったけれど大変お世話になったが,その時はすでに病床生活から復帰されたと聞いていた。
それだけに今日届いた訃報はショックだった。
〈樹々のざわめき〉というタイトルの先生のブログには,「これまで生きてきたこと,これからの限られた日々をじっと見つめている。ジタバタしたくはないが,生きられるだけ生きていきたい」とあった。
これは生前の先生の本音だろう。
だけどその後には先生らしく,「もっとも、最近の学生の本音は、若者が社会に参入するためには,年寄りが一刻も早くばたばた死んでしまえ,延命医療を施すな,ということのようである」と続く。
世の中にに対し,常にクリティカルでありつつどこかシニカルで,非常に学ばされることの多い素敵な先生だった。
先生がいなければ私の修論はなかった。そう考えるとその後の研究生活もなかった。
生前,私に多くのものを残してくれた先生に,本当にありがとうございましたと最後の別れの言葉を伝えたい。